“シークレット・サンシャイン(密陽:ミリャン)”(映画)
イ・チャンドン監督
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公式サイト:
http://www.cinemart.co.jp/sunshine/
外国の人と仲良くなるためには、共通の話題があるとよい。韓国の人との話題作りを含めて、仕事帰りに久しぶりに映画を観に行った。
明るい主題を描いた映画ではないが、韓国映画”シークレット・サンシャイン(密陽:ミリャン)”は、印象に残る映画だった。”Secret Sunshine”とは、韓国、釜山に近い都市の名前でもあり、その地を中心に物語が進行する。
ストーリーは、夫を失ったピアノ教師シネ(チョン・ドヨン)が、その息子と夫の生まれ故郷であるミリャンにソウルから引っ越してくるところからはじまる。ソウルとは異なり、地方での人間関係に馴染めないシネ。そんなシネに惹かれる(ぱっと見あまりさえない)独身男ジョン・チャン(ソン・ガンホ)。
ちょっとした見栄のためのシネの言動から、シネの息子が誘拐され帰らぬ人となってしまう。悲しみの中シネは信仰に縋り、一時は心の平穏を得るかに見えるが、ある事件がきっかけでその一時の平穏さえも破られてしまう。
人間の見栄、虚栄と、そのわずかな優越感を得たために引き起こされるあまりに大きすぎる代償。人を許すことの困難さ。「本当」の宗教と「偽」の宗教との境界。様々なテーマが込められた映画だった。
休みの時ぐらいは難しいことを考えたくないという人や、笑いを求めているときにはお薦めできない映画である。また、レベルが高い映画なので子供にもお薦めしない(インディジョーンズ4の方ががよいかと思う)。ただ、人間というものの理解のためには、よい映画かと思う。
ところで、この映画においてもっとも幸せな人物は、傷つき、心を痛めるヒロイン(シネ)をどんなことがあっても慕い続ける独身男ジョン・チャン(ソン・ガンホ)である。彼が笑顔で幸せそうに生きていることが、シネの生き方との対比ともなっており、映画にアクセントを与えている。
梅雨っぽいシーズンですが、どうぞ良い週末を。
弁理士論文試験受験の皆様は、追い込みの時期かと思います。目標に向けて進まれてください。
椿特許事務所
[弁理士TY]