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弁理士試験の択一式に合格し、論文試験に余念のない当事務所のSTが、平成21年度特許流通講座に参加させて頂きましたので、感想など掲載させて頂きます。講師の皆様、運営の皆様、ありがとうございました。お礼申し上げます。私も勉強させて頂きます。
椿特許事務所
弁理士TY
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独立行政法人工業所有権情報・研修館(INPIT)主催の平成21年度特許流通講座を受講しました。
http://www.ryutu.inpit.go.jp/training/index.html
特許流通(≒技術移転)の分野は、私が普段関係している実務の領域とは少し離れています。ただ、「特許はどのように使うことができるのか」をもう少し具体的に知りたいと思っており、そしてそれを知っていれば普段の実務においても役立つことがあるのではないだろうかと考え、本講座を受講させて頂くことにしました。
本年度は全国8カ所で開催されており、関西では大阪での1回だけ、とのことで、大勢の方が受講されていました。講義の中のお話によると、参加者の多くは企業で知財関係の仕事に携わられている方だそうです。おそらく、特許事務所関係の参加者は多くはなかったと思います…
講座はほぼ1日かけて、5つのテーマについて行われました。
1.「特許流通を巡る最近の状況」
特許流通を巡る最近の国内外の状況について、データを交えながらわかりやすくご紹介して頂き、現状の問題点・特許流通の重要性について講義して頂きました。現状については、特許流通促進事業の成約件数は多くなってきているものの、ライセンス先との直接交渉によるものと比べると、まだあまり市場規模は大きくない、欧米と比較しては、VCなどによるベンチャー支援の規模が小さく、資金不足により事業化が難しいことが多いため、その点で技術移転が進まない、などの話が印象に残りました。
また、特許流通という手段を使って、新事業により、イノベーションを起こし、雇用を創出し、社会を豊かにするという目的を実現することができる。特許流通を活用して、日本にパラダイムシフトを起こし、今後の高齢化が進む日本を活性化させていきましょう、という熱いお話をして頂きました。
2.「特許流通による事業化例紹介」
企業の経営者の方により、大学との産学共同研究を行って特許を取得されて事業化された経験談についてご紹介頂きました。苦労されて発明され、特許を取得して安心されたところ、実はそれを活用するのがとても大変であり、特許流通アドバイザーの方に相談できて良かったということでした。
3.「特許流通による事業化成功の要因」
特許流通アドバイザーの方により、2つの特許流通成約事例をご紹介頂きました。
事例を通して、成約・事業化が成功する要因として、良いシーズを、良いタイミングで製造力・販売力があるライセンシーに紹介できること、ライセンサーがライセンシーをフォローできること、ライセンシーの責任者が量産化にリーダーシップを発揮でき、担当者に事業化についての熱意があることなどが挙げられました。
仲介者としては、シーズの競争力、トレンド適合性、市場規模など、シーズの市場事業性を見極めることが必要とのことでした。
いずれの事例も、アドバイザーの方の人脈を介したライセンシーとライセンサーとのつながり方がおもしろく、特許流通に限る話ではないですが、仲介者が誰であるか、ということで結果が相当異なる場合も多いのだろうなと感じました。
4.「ニーズ・シーズの発掘と特許評価」
ニーズ・シーズの発掘方法、特許流通の形態や進め方、また、特許評価の考え方について講義をして頂きました。
特許流通について、シーズについてその事業化先を探す形態(テクノロジープッシュ型と呼ぶそうです)は別の講義にも出てきましたが、逆に、ニーズがあり、それについての技術を探す形態(マーケットプル型)については、私はこれまで具体的な事例をほとんど聞いたことがなく、勉強になりました。
5.「ライセンス契約の基礎」
特許流通に際し必要不可欠な、秘密保持契約・ライセンス契約等、契約に関する基礎的知識について講義して頂きました。
特許事務所としては契約の当事者や仲介者になることは今のところほとんどなく、その性質上あまり表にも出てきにくい領域ですが、講師の方の経験談も交えながら、ライセンス交渉にあたっての心構えや注意すべき点など基本的な部分をお話し頂き、とても参考になりました。
ライセンス契約は契約する当事者間でのバランスをとってされるところ、良い権利を持つ重要性というものを感じました。
本講座を受講して、ライセンスする・受けるという特許の活用法に関して以前よりも具体的なイメージを持つことができました。このような活用法で発明を特許権として使って頂くためにも、まずは、弊所のメインの業務である、優れた発明についてより強い特許を取得するお手伝いを確実に行えるように、日々研鑽を積んでいかねばならないなと思いました。また、それと共に、この特許流通に関する領域もさらに勉強していきいと思いました。
示唆に富む経験談を交えながら役立つ講義をして頂いた講師の皆様、主催者の皆様、ありがとうございました。
椿特許事務所
ST

Post Author: tsubakipat