【個人メモとして】
meansクレームを起草したとき、その構成要素に関しては、米国特許法112条第6パラグラフにいう「対応の構造(structure)」がその明細書に開示されている必要がある。米国においてその判断は他の国よりも厳しく、米国以外の実務に則った外国明細書(例えば日本出願明細書)を翻訳しただけでは(あるいは米国以外の実務に則った明細書でPCT出願を行なっただけでは)、米国において出願が拒絶されたり、無効となることがある。
例えば、
ARISTOCRAT TECHNOLOGIES AUSTRALIA PTY LIMITED and ARISTOCRAT TECHNOLOGIES, INC., v. INTERNATIONAL GAME TECHNOLOGY and IGT
http://caselaw.lp.findlaw.com/data2/circs/fed/071419p.pdf
(オーストラリアでなされたPCT出願のmeansクレーム記載要件が、米国法に則っていないとして特許が無効とされたケース)
BIOMEDINO, LLC, v. WATERS TECHNOLOGIES CORPORATION et al.
http://www.ll.georgetown.edu/federal/judicial/fed/opinions/06opinions/06-1350.pdf
(“control means”に対応する構成物が明細書に開示されていたかが争点となり、技術常識の参酌からその開示を補うことが否定されたケース)
一方、
IN RE OLAF H. DOSSEL and WALTER H. KULLMANN
http://www.ll.georgetown.edu/federal/judicial/fed/opinions/96opinions/96-1340.pdf
(ドイツ出願を基礎としてなされた米国出願における、meansクレームの対応物が明細書に記載されているかが争われ、結果を生じさせる数学的アルゴリズムまで明細書に記載されていなくても、コンピュータを用いる手法などの従来技術からそれは自明であるとされたケース)
例えば、コンピュータ発明においては、meansに対応するコンピュータプログラムのソースコードの記載までは要求されないが、記載不備を避けるためには詳細なアルゴリズムを記載しなければならないとされる。一方で、詳細に記載しすぎると、meansクレームの権利範囲が極めて狭くなるという二律背反が生じる。
それでは、どの程度の感覚でmeansクレームや明細書を作成すべきか。アメリカ出願を考えたとき、どのような日本出願明細書を作成しておくべきか。
また、他の好ましい策はないか?(例えば方法クレームの作成など)
椿特許事務所
弁理士TY