日本弁理士会近畿支部主催による、
(1) 「特許法104条の3の制定とその解釈」をテーマとした講演会
(弁護士法人・関西法律特許事務所、村林隆一先生)
(2) パネルディスカッション、「企業の知的財産侵害訴訟 ~権利無効の抗弁について~」
(パネリスト:知的財産高等裁判所・飯村敏明判事、甲南大学法科大学院教授・大瀬戸豪志先生、日本合成化学工業株式会社・知的財産部長・長谷川治雄氏、および弁護士法人・関西法律特許事務所・村林隆一先生、コーディネータ:河野登夫先生)
に参加させて頂く。
行政庁(特許庁)と裁判所との役割分担の歴史とその問題点、キルビーなど「判例」の読み方、近年の判例・裁判実務、ダブルトラックの訴訟経済上の問題点など多くのことを学ぶ。
ディスカッションでは、特許法104条の3などに関連して、無効理由としての進歩性判断の実務の問題が挙げられ、
(ア)特許法第29条2項では、進歩性の判断時を「出願前」としながら、実際は審査・審判時、裁判時で判断される点(出願時から考えると、審査などの時点では技術水準が上がっているが、それを考慮せずに審査などが行なわれている点)、
(イ)審査官・審判官・裁判官は、進歩性判断の対象となるクレームや資料を見たあとで判断するので、「後知恵」になりやすい点(すなわち(ア)と関連して、「出願前」には判断対象である明細書やクレームが存在しないので、判断対象である明細書やクレームがない状態で「当業者容易」と言えるのかを判断しなければならない点)、
についても議論された。
私も、(ア)、(イ)共に、実務で何度か主張・議論したことがあるが、相手にしてもらえないことが多いように思う。(ア)、(イ)両者とも、法文上から明確であり、無視して判断を行なうことは違法であると強く思うのだけど。
椿特許事務所
弁理士TY