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某月某日
「知財ゲーム」の開発者の一人であるIさんほか、IPR関西の方々にお会いして、西梅田のお洒落なレストランで「知財ゲーム」をプレイさせて頂く。知財ゲームは、「主に企業の知財部門担当者および経営者を対象として考案・開発された教育・研修ツール」である。ビジネスIPRという有志の研究会(NPO)により開発が行なわれた。
現時点で「知財ゲーム」は、ビデオゲームではなく、モノポリーのようなボードゲームに近いゲームである。各プレイヤーが「市場ボード」に駒を置き、各プレイヤーのカードと紙幣とを資源に、特許やブランドの観点からの企業経営を疑似体験するものである。
各プレイヤー(4人程度の人数が適切らしい)は、最初5枚のカードを保有している。各人順番に、山の中から新しいカードを引き、それに基づき自己の意思決定を行なう。1周全てのプレイヤーが意思決定を行なうことで1年が経過する。このとき、伏せられていた「市場カード」がめくられ、(運が良ければ)自己の市場が発展し(ボード上の駒を進めることができ)、またボード上の駒の位置に応じた「収益」を得ることができる。
プレイヤーは、「特許カード」と「機能カード」とから、引くカードを選択する。前者は、市場ボード上のいくつかの市場に対応する有力特許を示すカードであり、後者は、無効審判や侵害訴訟を提起したり、それに応訴するためのカードである。
プレイヤーの意思決定(経営判断)としては、自社の特許を強化して市場に参加して利益を得ること、他社の特許に対して無効審判を請求したり侵害訴訟を提起することで他社を攻撃すること、また、不要な特許を他社に譲渡したり必要な特許を買い取るなどの交渉を行なうことが可能である。
最終的な勝敗は、プレイヤーが保有する「星」の数で決定される。「星」は1つ300億円で購入でき、または侵害訴訟で勝訴することで得ることができる。(筆者はここまで書いて、「ライアーゲーム」や「カイジ」の作者になったような気持ちになっている。あれも面白かったなあ。)
きわめて複雑な知財の世界をシンプルなゲームのレベルにし、また実際の実務から違和感がないようにゲームを構成することは、大変なことだったのではないかと思いますが、非常に興味深いものでした(ありがとうございました)。「知財ゲーム」は、現在も改良中であるとのことであり、今後の教育・研修ツールとしての役割が期待されます。
「知財ゲーム」に関しては、「企業診断」誌2008年8月号にも掲載されていますので、ご覧ください。

企業診断 2008年 08月号 [雑誌]

企業診断 2008年 08月号 [雑誌]

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 同友館
  • 発売日: 2008/07/26
  • メディア: 雑誌

椿特許事務所
弁理士TY

Post Author: tsubakipat