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先日、大阪工業大学の森先生のゼミで話をさせて頂いたときの資料を弊所HPにアップしました。

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(左のリンクの「資料」の「その他講演」より)
在校生と卒業生の双方を対象としての話であり、どのような内容がよいのか事前の打ち合わせが煮詰まってないまま本番を迎えてしまったという反省がありますが、感想など弊事務所に頂けましたら、今後の改善点とさせていただきます。
「世界の特許制度」の統一に関しては、やはり米国の立場がキーなのでしょうが、自国発明(特に大学発明やベンチャー)の保護に重点を置き、その消費者を求めて世界中に市場を拡大させ、そこで得た富を新規技術の開発に再投資する、というアメリカ型の資本主義思想が根底にある以上、米国が現在の特許制度をわざわざ変えることはないだろうと思います(自国に不利となる条約をわざわざ締結する必要はない)。
「先発明者主義は問題が多いので、先願主義に移行する」と常に言い続けながら、何十年にも渡って先発明者主義を続けるのは、先発明者主義が米国にとって打出の小槌だからなのでしょう(ヒルマードクトリンや、出願を非公開にする制度ともあわせて)。
特にここ10年で、インターネットが発達し、各国の特許情報、各社の情報は無料で手に入るようになりました。また、特許情報のテキスト化、自動翻訳技術、分類、サーチ技術が劇的に進化しています。このような現在の世界情勢を見ると、自国の利益のために、自国の(企業、大学、ベンチャーの)技術をできる限り秘密にし、他国の(企業、大学、ベンチャーの)技術は容易に得ることができるようにする、また、自国民にとっては特許を取得しやすくし、他国民にとっては特許を取得しにくくする、という政策は、現在の米国の強力なアドバンテージとなっているものと思います。
勿論、すでに成長を遂げて力をつけた米国の大企業が安住を求めるには、先発明者主義は目の上のたんこぶなのかもしれません。例えば、マイクロソフトは数年前に「米国は、先発明者主義をやめ、先願主義に移行すべき」とのコメントを発表していました。パテントトロールの問題も根強くあります。しかし、そのマイクロソフトやGOOGLEほか、魅力的な企業が米国内に誕生したのは、米国の特徴ある特許制度の結実の1つであると思います。現代において1つの国家全体としてみたとき、先発明者主義は、毒よりも薬になっていることが多いのではないかと考えます。
合衆国憲法第1章第8条第8項に、「著作者および発明者に対し、一定期間の独占権を保証することにより、科学および有用な技術の進歩を促進する」と規定されていることがよく話題にされます。これは、「合衆国の」科学および有用な技術の進歩を促進することを目標とするものであり、「世界の他の国の」科学および有用な技術の進歩を促進することを目標とするものではありません。
米国は、これからも今まで通りの米国特許制度を大枠で維持し、少なくとも直近の数十年に注目されるであろうバイオ、医療、民間宇宙開発などの分野においても、他の国よりも有利なポジションを得るものと私は予想します。(日本の取りうる対抗策については、またの機会に。)
【その他】
ゼミで話をすることは楽しかったです(懇親会も楽しかったです)。講演会、社内勉強会、授業など、どこでも喜んでお伺いさせて頂きますので、もしも何かできることがありましたら弊事務所にご連絡下さい(日本中、世界中のどこでも、時間の許す限りお伺いさせて頂く予定です)。
椿特許事務所
弁理士TY

Post Author: tsubakipat