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「合格への道程(平成9年合格体験記)」 (Y塾発行)
(前号からの続き)
 「椿さんですね、受かっていますよ。」
 10月6日の午前にY塾へかけた電話の声に力が抜けながらも、昼休みに地下鉄に乗って合格発表を見に行きました。「自分の名前が目に飛び込んでくる」と聞いていたので本当かと思っていたら、私の名前がなく、血の気が引く思いがしました。じっくり探すと右上の隅にちゃんと載っており(縦並びの順かと思っていたら横並びだった)、安心しました。
 口述はY塾の練習会に参加させて頂き、特許庁での本番も無事乗り切ることができました。11月10日に、今度は自分の名前をすぐに見つけることができ、3年半の受験生活は幕を綴じました。弁理士登録を済ませると、次の目標について考えるようになりました。
3.必須科目の具体的な勉強法について
 以下に自分にとって重要と思った点について述べます。
 (1)条文を遵守すること
 やはり、4法と条約の基本は条文であり、条文を遵守することが大切だと思います。条文にかかれている要件と、権利と義務とについて理解し、暗記し、それを遵守していれば必須科目はたいへん楽になります。
 私はどちらかというと理科系の人間としての考え方が身についており、最初の内は帰納法、演繹法的な考えで、自分勝手に条文を作っていました。しかし、法律の勉強とはそのようなものではなく、既存のルール(条文)を正しく理解し、憶えることである点に気づき、それから成績が伸びて行きました。
 (2)繰り返すこと
 1回読んだくらいでは記憶できないというのは、ほとんどの人が一緒だと思います。野球がうまくなるためには素振りを繰り返さなければならないように、私は繰り返し条文やレジュメを憶えました。また、繰り返しの作業を効率化するため、①カード化する、②MDに吹き込む、③見やすい資料を作る、など自分なりに努力しました。
 (3)集中すること
 働きながらの短い細切れの時間を有効に活用するために、周囲がうるさいときにはイヤーウイスパーを使ったり、MDなどを用いて耳から憶えるようにするなど努力しました。また、ただ目で読んでいるだけではすぐに眠くなってしまうので、声に出して読んだり、線を引きながら読んだり、ノートをとりながら読んだり、作業化するようにしました。
 (4)時間をかけること
 勉強方法を確立し、8教科を全て立ち上げるためにはかなりの時間がかかると思います。わずかな時間でも大切にしました。また、時間を有効活用するために、自分に不足しているものを正確に把握し、それを埋めるようにすることが大切だと思います。
 (5)その他(基本書について)
 ほとんどの受験生と同じく、Y塾のサブノートを暗記用に用い、法令集、青本、吉藤、高田、斉藤、網野、後藤、ボーデン、橋本、改正法の解説、運用、審査基準を基本書にし、中山、竹田(知的財産権侵害要論)、旧斉藤、牛木(意匠法の研究)、加藤(意匠法)などを参考書に使いました。どの程度基本書を読み込む必要があるかは勉強の進度に応じて変える必要がありますが、法律(条文)を理解し、人に説明できるようになることが勉強の目的であるため、深入りしすぎないことが大切だと思います。言い換えれば、試験にまず出ないような所に必要以上に時間をかけたり、理解せずに一字一句丸暗記することは危険だと思います。上に挙げた基本書以外に参考になった本を挙げます。
 ①法学書院「理系のための法学入門」杉光一成(入門書としては適当だと思います)
 ②自由国民社「図解による法律用語辞典」
 ③発明協会「特許民法」元木伸
(次号へ続く)
【補遺】
10年以上前の試験制度のときの話ですので、現在の新弁理士試験の受験生の方は、最新の情報に従って下さい。
椿特許事務所
弁理士TY

Post Author: tsubakipat