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「知財活動のコスト・パフォーマンスに関する研究
-真に、“経営に資する”知財活動を目指して-」(「知財管理」誌2010年7月号)を読んで
知財活動(新技術や研究開発の奨励、知的財産の集約、出願、権利取得、管理、他社権利対策など)は、自社を他社と差別化し、唯一無二のものにするために必要不可欠な活動です(「手を抜いて痛い目にあった」という経験をされた企業も多いと思います)。
一方で、知財活動への投資(コスト)に対する知財活動の効果(パフォーマンス)を定量的に測ることは難しいものがあります。知財活動が狙うところの大半は、自社の技術を模倣から守ることや、将来の自社技術の開発自由度を増すことや、他社の権利侵害を避けることであり、その効果を正確な数値で表現することが極めて難しいためです(そして、数値で表現できないものではありますが、知財活動にもやはりパフォーマンスの優劣が存在しています)。
「知財管理」誌2010年7月号の「知財活動のコスト・パフォーマンスに関する研究-真に、“経営に資する”知財活動を目指して-」は、知財活動のコスト・パフォーマンスの既存の分析手法とその問題点、コスト・パフォーマンスを測定するための新たな指標の提案、コスト・パフォーマンス向上のための心得とまとめられており、知財活動の意義や目指すところを考える上でよい論説でした。
特許事務所や弁理士も、対価(コスト)を頂いて、知財活動の効果(パフォーマンス)を提供することが仕事であり、コストパフォーマンスが高いことは、よい事務所(弁理士)であることの条件であると言えます。ベストの効果、サービスの受け手の期待以上の効果を提供できる事務所(所属弁理士全員がそうである事務所)であることを常に進むべき目標として置き、毎日、研鑽を図っていきたく思っています。
【その他】
ちなみに、私が顧客(クライアント)側だったときに、特許事務所や弁理士のパフォーマンスを評価するとしたら、どのように判断するだろう?多分、以下のような指標にもとづいて判断するのではないかと思う(結果的には、全ての指標は「顧客満足度」に結びつくのですが)。
・拒絶査定率が少なく(先行技術をよく分析している、特許にするためにどの程度の記載が必要であるか理解している)、かつ、先行技術を避けて可能な限り「よい権利」を取得する(拒絶を回避するためにどの程度の限定で足りるか理解している、ライセンス、権利行使など権利化後の対策を充分に考えている)代理人であるか、
・技術をよく理解して仕事をしている代理人であるか(勉強熱心な代理人であるか)、
・実務能力が高い代理人であるか(短時間で正確な仕事をする代理人であるか)、
・困ったところで頼りになる代理人であるか、
・話しやすく、話の内容が理解しやすい代理人であるか、
・一緒に働いていて発明者や、会社担当者のやる気がでる代理人であるか、一緒に仕事をして楽しい代理人であるか、
・指示がうまく伝わる代理人であるか、
・特許実務に研究熱心な代理人であるか、
・責任感がある代理人であるか
・期限管理、情報セキュリティ対策など、常識的なことに関しても、しっかりしている代理人であるか、
・自分第一ではなく、クライアントである会社のことをよく考えている代理人であるか、クライアント側の話・要望にしっかりと耳を傾ける代理人であるか、
・仕事好きで、仕事にやりがいや誇りをもっている代理人であるか、
・・・etc.
椿特許事務所
弁理士TY

Post Author: tsubakipat