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平成22年3月2日(火)13:30~17:00に、大阪科学技術センターの8階大ホールにて、平成21年度の日本弁理士会の特許委員会公開フォーラムが開催されました。
これは、日本弁理士会の特許委員会にて検討された重要テーマの報告会であり、筆者も出席させて頂きました。
フォーラムでは、以下の5つのテーマに関しての報告が行われました。
1.シフト補正回避のための37条拒絶理由対応法
2.発明の認定における明細書の参酌 ~リパーゼ判決の例外~
3.「サポート要件」と「実施可能要件」とを並存させる必要性
4.特許権侵害訴訟での「クレーム解釈」と「権利無効の抗弁」に関する各国比較
5.ダブルトラック-裁判所と特許庁との判断齟齬についての検討
どのテーマも、最近話題や問題になったトピックであり、非常に勉強になりました。発表者の皆様、研究委員の皆様、ありがとうございました。この場を借りて御礼申し上げます。
「シフト補正回避のための37条拒絶理由対応法」は、いわゆるSTF(特別な技術的特徴)に関するものであり、制度が導入されてまだそれほど時間が経過しておらず、運用が確立されていない部分が大きいだけに、具体的事例は参考になりました。
STF(特別な技術的特徴)に関しては、2年ほど前、当ブログにも書いたのですが(↓)、
http://tsubakipat.blog.so-net.ne.jp/2008-05-29
http://tsubakipat.blog.so-net.ne.jp/2008-05-26
まだ実務をやっていて疑問になる点は多いので、ここに練習問題を残しておきます。
「練習問題1」
以下の[仮想事例1]の特許請求の範囲を想定する。
[仮想事例1]
【請求項1】 AおよびBを備えた、○○装置。
【請求項2】 Cをさらに備えた、請求項1に記載の○○装置。
【請求項3】 Dをさらに備えた、請求項1または2に記載の○○装置。
【請求項4】 Eをさらに備えた、請求項1から3のいずれかに記載の○○装置。
この場合、例えば請求項1が新規なものであれば、全ての請求項は、共通のSTFを持つこととなり、全ての請求項が審査の対象となる(全ての請求項は、単一性を有する)。
一方、請求項1が新規なものでなければ、請求項1と他の請求項とは共通のSTFを有さないので、単一性がないこととなる。
この場合、請求項1に従属する請求項を順次、STFを有する請求項が現れるまで辿ってゆく。STFを有する請求項(請求項X)が現れると、請求項X、およびそれに従属する全ての請求項、ならびにそれまでにSTFの有無を判断した請求項が実体的な審査(新規性・進歩性判断)の対象とされる。
(なお、上記の「それまでにSTFの有無を判断した請求項」は、審査で通常は、「新規性なし」と判断されるものと思われる)。
次に、以下の[仮想事例2]の特許請求の範囲を想定する。
[仮想事例2]
【請求項1】 A、B、C、D、およびEを備えた、○○装置。
【請求項2】 Cを備えないことを特徴とする、請求項1に記載の○○装置。
【請求項3】 Dを備えないことを特徴とする、請求項1または2に記載の○○装置。
【請求項4】 Eを備えないことを特徴とする、請求項1から3のいずれかに記載の○○装置。
仮想事例2の規定する権利範囲は、実質的には仮想事例1のそれと同じである。
では、仮想事例2の特許請求の範囲を審査基準に従って審査する場合、審査はどのように行われるべきか、述べよ。
椿特許事務所
弁理士TY

Post Author: tsubakipat