(2009.6.24の日記の続きです。)
講義後、BSKBのパテントエージェントであるGeorgeからの誘いで、ボートに乗りました。
ここは夜8時半まで日が沈まないので、講義後でもボートが十分に楽しめるんです。ポトマック川から眺めるワシントンDCの景色は最高でした。
でもGeorgeは、僕より年下の31歳・・・オカネモチデスカァ??
2009.6.25 発明の日付の立証、技術分野ごとの講義、野球観戦
今日は、発明の日付の立証についての講義を受けた後、技術分野ごとに分かれて講義を受けました。
技術分野ごとに分かれた講義では、私は機械分野の講義を受けました。この講義では、課題に関するクレームを作成するという演習を行いました。課題は、複数の紙を留める技術として、紙に穴を開けて穴にひもを通す技術が先行技術であり、一般的な(金属製で楕円形の)クリップが発明品である場合に、クリップの発明品のクレームをグループで立てるというものでした。
この課題に関して、私は、2つの部材の弾性力によってシートを留める点にあることが発明のポイントであると理解し、自分のクレームを立てました。しかし、グループ(日本人2人、中国人1人)で、どのようなクレームを立てるかという話し合いのところで、議論が紛糾してしまいました。
もう一人の日本人である Iさんと私は、大体同じ発明の捕らえ方をしていたようですが、我々の意見をうまく中国人の方に伝えることができず、中国人の方を説得することができませんでした。特許の議論を英語ですることの難しさを学びました。
講義後、ワシントンナショナルズ対ボストンレッドソックスの野球の試合を、ナショナルズの球場見に行きました。ワシントンナショナルズ
http://washington.nationals.mlb.com/index.jsp?c_id=was
は、2005年にカナダのモントリオールからワシントンDCへ移転してきたばかりのチームです。一方レッドソックスには、松阪、岡島、斎藤隆が居ます。そのせいか、BSKBのメンバーも含めて、球場にはナショナルズファンよりもレッドソックスファンが多かったように思います。
その日球場は記録的な超満員で、42000人くらい入っていたようです。驚いたのは、レッドソックスの4番Ortiz(左打ち)の時に、内野の守備がみんなセカンドより右側を守り始めたことです。つまり、サードとショートの間の位置ががら空きで、セカンドとファーストの間の位置に内野手が4人も居るのです。そんな守備体型するなら左に打てばいい、と小学生でも思うはずなのですが・・・それでも強引に右に打ち続けるOrtizに、男気を感じました。試合はレッドソックスのぼろ負け。でも8回に斎藤隆を見ることができました(ホームラン打たれたけど)。
2009.6.26 米国特許出願の権利化の方策およびMicheal判事の講演
今日は、米国特許出願の権利化の方策の講義の後、CAFCのchief judgeであるMicheal判事の講演を聞きました。
Micheal判事は(資料が無かったので耳で聞いて書き留めた情報ですが)、prosecutor(特許権の権利化を図る人)は、litigator(特許権に基づいて訴訟をする人)からの情報をもっと得ながら明細書を作成するべきであり、それが訴訟において不必要なトラブルを避けることができるとおっしゃっていました。
また、一般的でない用語をクレーム中で用いる場合には、明細書にその用語の定義を必ず入れておくべきだとおっしゃっていました。そうしないと、用語の解釈が変わり、クレームの保護範囲が変わる恐れがあるためです。
さらに、KSR判決など一つの裁判例を学習する場合、その裁判例を一般化して解釈するのではなく、他の類似の裁判例もいくつかチェックしておくべきだと述べられていました。それは、裁判例は一つの具体的な事例に対する判断に過ぎず、条件が異なれば判断の結論が変わる可能性もあるからであると述べられていました。
講義の後、BSKBの日本人スタッフであるWさんに、”Tachibana”
http://www.j-connections.com/dc/blog/tachibana.php
という日本料理店に連れてっていただきました。
そこは、ワシントンDCの人気店として長年表彰され続けているようでした。店内は週末の夜ということもあり混んでいて、入るのに30分くらい待ちました。しかし、おすしを始めとして、メニューは本格的でした。さわらの味噌焼きなど、まさかアメリカで・・と思うようなものも頂くことができました。店員のおばさんにも日本語で話しかけられて、なんか変な感じでした。
Wさん本当にありがとうございました。
椿特許事務所
弁理士IT
【その頃日本では】
仕事、仕事、仕事!
ITさん、お早めの帰国をお待ちしています。(所員Sさんも、無事弁理士二次試験を終え、仕事に全力投球です。)
・・といいつつ、私は週末には海開きを済ませた、S海水浴場に行く予定だったりして・・。S先生、Nさんの結婚式も楽しみです。
ところで上の日記における、Micheal判事の、「prosecutor(特許権の権利化を図る人)は、litigator(特許権に基づいて訴訟をする人)からの情報をもっと得ながら明細書を作成するべき」、というご指摘は、もっともだと思います。日本を含めたどの国においても、このフィードバックを確立させることが難しく、避けては通れない問題なのでしょう。
反面、それが難しいだけに、できる人は少なく、プロフェッショナルとしてやりがいのあることと思います。日本のprosecutorの皆様、自己満足ではない「強い権利」の取得を目指して、共に努力しましょう。
最後になりましたが、BSKBのWさん、私のときにもご馳走をして頂き、ありがとうございました。心からお礼申し上げます。ポトマック川の夕日を眺めながらの食事と、帰り道のドライブと、余った料理を頂いて部屋で食べたことが昨日のことのように思い出されます。偶然ですが、Wさんと引き合わせて頂いたTK弁理士の日本での講義に、今日参加する予定です(その後は、大阪で食事会の予定です。Wさんからご馳走になった分、TK弁理士にご馳走しときます)。
椿特許事務所
弁理士TY