国立科学博物館(東京・上野)にて、2月6日まで、特別展「空と宇宙展」が開かれています。
1910年12月に日本初の動力飛行が実現してから100周年を記念してとのことで、航空・宇宙の技術開発の100年間の歴史とその成果が、時系列に沿って展示されています。
人気を集めているのは、小惑星探査機「はやぶさ」の実物大モデルや、宇宙ヨット「イカロス」のソーラー電力セイルなど。戦後の日本に数々のドラマを生んだ、ペンシルロケットや、YS-11などに関する展示も行われています。
これまでに開発された数々の航空エンジン、航空機、ロケット、人工衛星など、どれも日本の航空宇宙技術の歴史を知る上で素晴らしいものでした。過去に開発された技術の成果を見ながら、当時の日本の置かれた状況や、その技術を開発した技術者のこと、その技術によって人生が決定づけられてしまった先人に思いを馳せると、時間の経つのを忘れてしまいました。
個人的には、国内で初めて実用化されたジェットエンジン「ネ-20」の実物展示が印象に残りました。
当時の日本の技術力もさることながら、太平洋戦争末期の技術者が置かれた立場やその思いを慮ると、背筋が伸びる思いがします。
国立科学博物館HP
http://www.kahaku.go.jp/
ターボジェットエンジン「ネ20」について(Wikipedia)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8D20_%28%E3%82%A8%E3%83%B3%E3%82%B8%E3%83%B3%29
「ネ20」開発者の中心人物の一人、永野治氏に関するWikipediaの記事
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B0%B8%E9%87%8E%E6%B2%BB
椿特許事務所
弁理士TY
【補遺】
日本のジェットエンジン開発に纏わる書籍に関して、例えば以下のノンフィクションなどは一般にも読みやすい。
この書籍中、昭和39年頃の話で、永野氏が、仕事を受注してきた石川島の営業担当者に対して、「そもそも、これだけの技術を持っている所へ仕事を発注しないのが損なのであって、何もこちらから仕事を下さいと頭下げる必要はないんだ」と言ったり、「できもしないような、調子のいいことをいって仕事をとってくるなんてことはしなくていい」、と叱りつける部分は、当時の技術系・理科系人間の誇りと情熱を伺わせる(私が生まれたのはそれからだいぶ後のことだけど、思えば私の先輩や同期にも、そのような考えの人が多かった)。
今の時代、「マーケティング」や「マネジメント」について語る経営者・技術者は多いが、これほどまでに自社の技術や製品に情熱と誇りをもって仕事をする人は、確実に少なくなってきていると思う(それは、弁理士の世界においても)。
ジェットエンジンに取り憑かれた男〈上〉国産ジェット機「橘花」 (講談社プラスアルファ文庫)
- 作者: 前間 孝則
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2003/03
- メディア: 文庫