EP出願(欧州特許条約に基づく出願)における分割出願可能な時期が変更になります。
これまEP出願では、分割出願は親出願が係属中である期間であればいつでも可能でした。
しかし、EPC(欧州特許条約)規則改正により、自発的な分割出願が可能な時期が、審査部による1回目の審査結果の発行から24か月以内に制限されることとなりました。
この規則改正は、2010年4月1日から発効します。
具体的には、改正後のEPC規則36条(1)では、以下の2つのうちいずれかの期間に分割出願可能な時期が制限されています。
(a)「最初の出願」(出願のファミリーのうち最初の出願)に関する審査部からの1回目の通知から24ヶ月の期間
(b)審査部が最初の出願をEPC82条の単一性の要件を満たしていないという理由で異議を唱えた場合に、その異議を最初に提起した通知から24ヶ月の期間
つまり、出願(ファミリーの出願がある場合にはそのうち最初の出願)における1回目の審査結果から24ヶ月以降は、自発的に分割出願をすることができなくなり、審査部による単一性の異議(EPC36(1)(b)が提起された場合にのみ分割出願が可能となります。
また、暫定規定として以下のことが定められています。
24ヶ月の期間が2010年4月1日より前にすでに終わる場合には、その日から6か月以内(すなわち2010年10月1日まで)ならば、自発的な分割出願が可能となります。
24ヶ月の期間が2010年4月1日の時点でまだ続いている場合には、少なくとも6ヵ月(すなわち2010年10月1日まで)は、自発的な分割出願が可能となります。
今回のEPC規則改正へ対応するためには、出願のファミリーのうち最も早い出願の中で、2008年4月1日以前に1回目の審査結果が発行されている出願について、分割出願の要否を検討しておくことが必要となります。
【関係条文】
Amended Rule 36
(1) The applicant may file a divisional application relating to any pending earlier European patent application, provided that:
(a) the divisional application is filed before the expiry of a time limit of twenty-four months from the Examining Division’s first communication in respect of the earliest application for which a communication has been issued, or
(b) the divisional application is filed before the expiry of a time limit of twenty-four months from any communication in which the Examining Division has objected that the earlier application does not meet the requirements of Article 82, provided it was raising that specific objection for the first time.
(2) A divisional application shall be filed in the language of the proceedings for the earlier application. If the latter was not in an official language of the European Patent Office, the divisional application may be filed in the language of the earlier application; a translation into the language of the proceedings for the earlier application shall then be filed within two months of the filing of the divisional application. The divisional application shall be filed with the European Patent Office in Munich, The Hague or Berlin.
…(omitted)…
椿特許事務所
弁理士IT