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1月30日、京都で日本知的財産協会(JIPA)の知財シンポジウムが開催され、非常に興味のある内容でしたので参加させて頂きました。
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テーマ:“経営と知財現場最前線との結合”~やはり基本は実務どす~
第1部 基調対談
「企業の存続を賭けたイノベーション活動と知財活動のあるべき姿を経営の視点から語る」
第2部 パネルディスカッション
テーマ:「マネージャ必携」の能力を探る
     ~現場最前線のマネージャの立場から~         
第3部 パネルディスカッション
テーマ:「強い特許」を探る
     ~司法・行政・企業の実践的な視点から~
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第1部では、経営資源としての知的財産の重要性、知財部門の期待像などを、第2部では知財を扱う組織のあり方、理想像を、そして第3部ではプロフェッショナル実務家が求め続ける「強い特許」の理想像などを講師の先生方に熱く語っていただきました。
「強い特許」、「良い明細書」に関しての講演会は巷で時折なされていますが、実際に実務をされていない先生(あるいはチェックや管理のみを行なっている先生)が講師をされているものにおいては、話が抽象論で終わってしまうことが多いように思います。
この点、今回の講演の第3部では、プロの実務家の対談を聞くことができました。抽象論ではない、ピントが合った議論であり、「大変に大変に」おもしろく、貴重なものでした。ありがとうございました。また、第1部、第2部でも、経営、マネージメントに力を注ぐ方の観点からの意見を聞くことができ、実り多い時間でした。
いろいろな実務に関われば関わるほど、明細書を作成することの本当の難しさが判ってくると思います。語弊があるかもしれませんが、恐らく「完全に強い特許」、「完全に良い明細書」というものは存在せず、それは時代に合わせて追い求め続けるべきものなのでしょう(「自分の仕事は一流」と自分で思った段階で、人がすでに三流になっていることと同じかもしれません。完璧な人間がいないのと一緒で、完璧な明細書はありえないものなのかも)。だからこそ実務家は、日々各国の判例や実務を研究して行かなければならないのでしょう。決して楽な仕事ではないですが。
【個人メモ】
【侵害論・クレームドラフトに関して】
・裁判所で特許が無効とされる率の増加 → 有効な訂正が可能である明細書の作成を視野に入れる
・上位概念から下位概念に向けての段階的クレームの重要性。
・機能クレームに代えて、または機能クレームと共に「構造クレーム」を記載する重要性。
・特に、クレーム中の「本質部分」には機能表現は避けた方が良い?
・発明の「要旨」の限定がなされたクレームでありながら、技術的範囲が広いクレーム。
・クレームが多義的に解釈できる場合、原告が不利になることの方が多い。
・権利が「明瞭」でないと権利の行使ができない場合が多い。
・広いクレームをサポートする多面的な実施例の記載。
・広すぎるクレームは合理的に解釈すべき(侵害論)。
・権利取得用のクレーム、ライセンス交渉用のクレーム
【出願・中間処理に関して】
・ソルダーレジスト後の補正制限の判例(H20.11.28「現像ブレード」事件)
・「権利化」への執着心。
・リパーゼ判決の「一義的ではない場合」
・審査・審判での周知技術の「後出し」について
・効果が明細書に記載されていないと、審査段階で認めてもらえないことがある(本来的にはおかしい?実験成績証明書の問題も)。
・JPO「品質管理室」への相談の可能性(起案の問題、将来はサーチ漏れなどの相談も)
・「偏光フィルム事件」:JPO、EPO、USPTOで見解が異なった。
・「望ましい明細書に関する研究報告」(財団法人知的財産研究所・H20.3公表)
【実務家の心がけに関して】
・良い発明をするのは発明者だが、良い特許を取得するのは知財担当者
・「限りなくよい明細書」、100%の力で記載する。
椿特許事務所
弁理士TY

Post Author: tsubakipat