筆者が所属する関西特許研究会(KTK)国際部会にて、弁理士吉田哲氏による「米国特許実務の現状とその対策」をテーマとする会合が開催された(通常このブログでは人物名はイニシャルで書いていますが、本人が喜ぶと思うので今日は実名で記載しています)。
弁理士である吉田哲氏は、奈良先端科学技術大学院大学の客員准教授でもあり、現在ではワシントンDCのlaw firmにて米国特許実務に携わっている。会合では自身の経験から、書籍には載っていない「米国実務」の現状について、大きくは以下のテーマで説明して頂いた。
1.米国法律事務所の基礎知識
2.代理人費用について
3.サービスが充実しない理由
4.国内代理人の役割(対策)
5.米国特許事情(Quanta判決)
筆者の覚書として書いておくと、
・自分のスキルに応じて代理人を選ぶべきである点、
・大きな事務所と小さな事務所の違い(これは日本でも当てはまる)、
・仕事の量・品質の割に米国代理人費用が高額になりがちな理由と対策(「タイムチャージの罠」など。どの程度の仕事を望むのか、どの程度の時間でやってほしいのかを現地代理人に言うことの重要性)、
・主にコミュニケーションの質・量の不足(および考え方の違い)から生じるサービスの低下について、
・現地代理人に技術的理解が期待できない理由、
・営業(肉食系)代理人と実務者(草食系)代理人との違い、
・パートナーとして責任を取れる人がやる仕事とそうでない人がやる仕事の差異(「いい仕事」をすることができるポジションにいるのかどうか)、
・日本代理人(弁理士)に求められる点とそのサービス向上について、
・「日本企業が指定した在外代理人」に対して日本代理人が無責任であるという問題点、そこから生じる仕事の品質の悪化、その対策
・日本出願時点の明細書の重要性(やはり基本はここに帰ってくる)
などについてお話しいただき、非常に興味深く参考になった。また所謂、「従来型」の外国特許実務の問題点などを確認することができ、良いサービスの提供、良い仕事をすること、のヒントを多々得ることができた。
(哲さん、感謝です。また世界のどこかの地で会いましょう。)
椿特許事務所
弁理士 椿 豊